2019年2月のブログ記事
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お互い手を出し合ったままゴング。 それぞれ、自分のコーナーに戻った。 緊張の糸が切れたからか、私はコーナー近くで、くずれるように倒れそうになった。 会長に支えられて、なんとかコーナーポストの椅子に座った。 こんなに限界まで、出し尽くしたのは初めてだった。 「ありがとうございました!」 Y選... 続きをみる
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そして、迎えた試合当日。 実践の勘、スタミナなど、リングに上がるにあたっての総合的な材料を整える事が出来た。 いや~3ヶ月しか調整期間がなかったから・・・と、言い訳できないくらい仕上がった。 自画自賛するわけではないけれど、あ~やっぱり俺はプロだったんだなぁ~と思えた。 会場には、T君のファ... 続きをみる
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私は、この試合が決まってやらなければいけないと思っていた。 T君が自殺した現場に手を合わせに行く事。 自殺する事はよくない。 自分だけ死んで、楽になるかもしれない。 残された人たちの悲しみ、無念さ。 そういう事を考えれば、自殺は卑怯だとも思う。 しかし、人間というのは弱い生き物。 こうやっ... 続きをみる
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私は何か因縁をつけに来たと思っていた。 すると、リーダーらしき入れ墨をいれた男が言葉を発した。 「プロの方ですか?」 私の動きを見て、そう思ったのだろうか? 「はい、ブランクはありますけどね。」 「試合、近いんですか?」 「3ヶ月後です。」 「頑張って下さい!お先、失礼します!」 男... 続きをみる
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そして、最初で最後のつもりで上がった7年振りのカムバック。 それで、私のボクサー人生は終わり・・・のはずだった。 T君の死・・・。 最後の試合から一年間、結婚や自分の治療院を開院するため、体をまったく動かしてなかった。 3ヶ月という短い期間で、再びリングに上がらなければならない。 間に合う... 続きをみる
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数年前に抱いていた「わだかまり」。 でも、心のどこかで、あれは何かの間違いで、私の勘違いだったんだ・・・と思いたかった。 しかし、それを確かめる勇気はなかった。 Kさんとの思い出は思い出として、心にしまっておこうと思った。 そして、あるきっかけから始めたFacebook。 昔のSジム時代の仲間... 続きをみる
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KさんとはSジムで、階級も同じ、デビュー戦も同じ時期、ファイトスタイルも同じファイタータイプ。 新人王戦も違うブロックで、同階級にエントリーしていた。 そのせいか、よく火のでるような打ち合いをして、スパーしていた。 私が憧れていた、カリスマボクサーだったIさん。 私は、そのIさんが所属してい... 続きをみる
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「オヤジの右が当たれば・・・」 「右喰ろたらもたんやろ・・・」 「どれだけもつかな・・・」 周りの人間たちが呟く言葉が耳に入ってくる。 そういえば、Aさんが私に話してくれていた言葉を思い出した。 「腕に自信のある奴がワシらの集まりに来ても、オヤジの右喰らって立ってられた奴おらんのやで!」 ... 続きをみる