私をたどる物語 <15> <神様からのギフト>
数年前に抱いていた「わだかまり」。
でも、心のどこかで、あれは何かの間違いで、私の勘違いだったんだ・・・と思いたかった。
しかし、それを確かめる勇気はなかった。
Kさんとの思い出は思い出として、心にしまっておこうと思った。
そして、あるきっかけから始めたFacebook。
昔のSジム時代の仲間たちと、次々に繋がっていく楽しさ。
「Kさんがコブシさんの連絡先を教えてほしいとの事でした。どうでしょう?」
ある日、ジムのOB会があったらしく、かつてのジム仲間のMさんからメールをもらった。
(あー、やっぱり私の勘違いだったんだ!)
Kさんが私とコンタクトをとろうと思ってくれている。
それだけで、充分だった。
その瞬間から「わだかまり」は影も形もなくなった。
「モチロン!」
私は本当に嬉しかった。
翌日、見慣れない番号からの着信。
Kさんだと思った。
「コブシくんですか・・・?」
懐かしい声。
15分くらい話しただろうか。
「Kさん、少し会えないですか?」
たまたま、私はその頃、仕事でKさんと同じ県にいた。
しかし、あと数日でこの県を離れてしまう私は、今しかないと、内向的な私にしては珍しく積極的に誘ってみた。
忙しいKさんの都合も考えず、失礼かなと言ってから思った。
でも、Kさんは快くOKしてくれた。
もう人生の半分過ぎているかもしれない歳になって、つくづく思う。
すべての事は偶然なんかじゃなく、必然なんだと。
だから、あの「わだかまり」も、私の人生を少しだけ楽しくするために与えられたものなのかなと。
こんな風に、神様からのギフトがあるたびに、生きる活力が湧いてくる。
若い時にも、神様からのギフトはあったのかもしれない。
しかし、「感謝する」という受け皿が若かりし頃にはあまりなかったから、気づかなかったのかもしれない。
幸せって、自分が踏んづけたり、蹴とばしたりしていた足元に転がっているんだなぁと思う。
Kさんと会う前日は、緊張してあまり眠れなかった。
駅で待ち合わせて、久しぶりに会うKさんは、こちらが驚くほど穏やかな顔をされていた。
当時の雰囲気と変わっていなかった。
Kさんは30数戦も歴戦の強者と戦っているから、もっと凄みのある雰囲気をしているのかと思っていた。
しかし、話しているときにふとした瞬間の表情や目は、やはりこちらがひるむ程の凄みを感じた。
所属していた関西のジムの第一線で活躍していたからこそ話せる、私の知らない話。
辰吉選手との秘話など、いちボクシングファンのようにKさんの話を聞いていた。
たまに、異なる意見になり白熱する場面もあったけれど、それも昔、さんざん殴りあいをしてわかりあえているからこそ、遠慮なく話せた。
3時間があっという間に過ぎた。
お互い次の日、仕事もあるし、帰ることにした。
Kさんとは、それ以来、会ってないけれど、年に数回短い文面でメールのやり取りをしている。
心の根底で繋がっている、そんな感じだ。
帰り際、Kさんが言った。
「コブシくん、これは冗談じゃないんだけれど、僕、何年か前、探偵ナイトスクープに手紙だしたんだよ。」
話によると、「をやっている、元ボクサーの・・・」と、私を探して欲しいとの依頼をしたらしい。
いや、もう、ホントに言葉で表現できないほど嬉しかった。
というか、キダタローさんよ~!
ゲップ連続何回できるか?みたいな、しょ~もない依頼うけるんやったら、Kさんの依頼受けろっちゅ~の!
あ、キダタローさんは、あの当時、局長とちゃうか。(笑)
と、話が脱線したけれど、ここから 話の続きが始まります。
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