コブシのブログ

つれづれ駄文

2019年1月のブログ記事

  • 私をたどる物語 <12>

    数日後、Aさんの事務所に行った。  「おー、コブシさん!」 にこやかに出迎えてくれたAさん。  最初の対応の時と顔つきが違っていた。 (いやいや、気を付けなければ・・・) まだ私の中では、何か騙されるんじゃないかと警戒していた。  近くのファミレスみたいなところで夕食をとることになった。  「いや... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <11>

    両親との約束、4年間は私の好きにしていい。  私の全力疾走は終わった・・・。  親に抗う理由もなく、家業の養成所に入った私。  規定の過程を経て、養成所を無事卒業。  卒業後、普通なら一職員として、16歳の頃に世話になったDグループ会社に勤める予定だった。 ところが、ある縁からKグループ会社の社長... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <10>

    翌日、正式にジムに引退の挨拶に行った。 ジムが一番活気づく夜の7時。  「お願いしまーーすっ!」 ジムに着き、いつもしていたように大きな声で挨拶をした。  「ちわーーすっ!」 いつもの面々たちが元気よく返してくれる。  「おーーっ、コブシ!」  「久しぶりです、コブシさん!」  仲間たちと会うのは... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <9>

    減量、試合、思いっきり飲み食いする。 このサイクルで3年間過ごしてきた私。 おそらく試合が出来ない体。 でも、これは夢なんじゃないか?  頬をつねるなんて甘いと思った私。  何度も何度も何度も、結構強く自分の頬を張った。 ヤッター!これで試合せずに済む! あんなに毎試合毎試合思ってただろ?  天変... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <8>

    マネージャーも、勢いにのった私に、攻めのマッチメイクをしてきた。  元日本ランカーのY選手。  名前は聞いた事があった。  戦績は私と同じ、6勝(3KO)3敗。  私と同じ戦績で、日本ランクまで入った事がある。 すなわち、強い相手とやってきている証である。 これは、相当気合いをいれなければいけない... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <7>

    ただの6回戦。 しかし、私にとっては自分が男でいられるかどうかの大一番。  試合当日。  後楽園ホールとは比べ物にならない小さな会場。  入っても1000人くらいだろうか。 メインの選手の故郷らしい場所。  別にタイトルマッチでもないので、客の入りも今一つ。  俺はここで終わってしまうかもしれない... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <6>

    「勝者~青コーナー!」  判定が出た瞬間、頭をうなだれる私。 リングサイドに立っていたマネージャーと私のトレーナーの二人が、優しくうなだれた私の頭を撫でてくれた。 この試合のビデオは、今でもたまに見てしまう。 ビデオを撮っていた私の後輩も、本当は黙って撮らなければいけないのに、最終ラウンドに「倒せ... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <5>

    しかし、目の事はトレーナーに話していなかった。 なんとなく、網膜剥離の前兆のような気がして、もし、そうなったら引退しなければいけなかったからだ。  私はガードがあまりうまくない。 というか、わざと打たすところがあった。 パンチが当たっているのに、グイグイ前に出てこられると、自分のパンチに自信がなく... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <4>

    今までの相手とは比べ物にならないくらいスピードのあるジャブを矢継ぎ早に打ってきた。 いろんな角度から数発打たれ、そのスピードに面食らっていた私。  次の瞬間。  気が付いた時には、右のストレートが私の顎を打ち抜いていた。 それもピンポイントに顎の先端の急所にヒットした。 はじめて感じた、角材で貫か... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <3>

    試合会場は名古屋。  相手は名古屋で期待されていた無敗のホープ。  私みたいな叩き上げは、ブランク明けといえど、ハードなマッチメイクになる。 しかし、そこで生き残ってこそ、上にいける。  自分でもそれは理解していた。  会長の孫なんかは、大事に慎重なマッチメイクで、訳のわからないフィリピン人なんか... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <2>

    私の現役時代・・・ Мさんとの約束通り、20歳になる目前の19歳で、東京後楽園ホールでデビュー。  人気のある日本チャンピオンの前座。  相手は、その日本チャンピオンが所属しているジムの選手。 アマチュアで数戦のキャリアのある相手。 だいたいメインの選手が所属するジムの興行では、そのジムに有利なマ... 続きをみる

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  • 私をたどる物語 <1>

    今から16年前の話。 1本の電話。  「コブシか・・Tがな・・Tが自殺したんじゃ・・・。」  会長の声は力なく、いつもの勢いはなかった。 それがショックの大きさを物語っていた。  T君が自殺?何故?  T君は私よりも7つほど下だった。  私が7年振りにカムバックするため、T君が所属していたジムで1... 続きをみる

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  • 200%夢の話  <2>

    【まだまだ、夢の中・・・】  試合は昼の1時半開始だった。  会場に入る前に、初めて用意されていた白衣をスーツの上に着た。  白衣を着るのは、実は2度目だった。  小学生の頃、学芸会で「みこみなし病院」という手術している患者の腹から、バケツや本などありえない物を出すという、しょーもない劇で院長役を... 続きをみる

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