心の隙間 <2>
Kさんに言われてから、バイトしてても、視線を感じて見ると、Kさんが見てたり。
タイプではないとはいうものの、とんでもないデブやブスでもないので、私も意識するようになってきた。
しかし、私と同時期に入っていた、族上がりのTさんとKさんはできているという話も耳に入っていた。
そんなある日。
「コブシさん・・・」
事務作業をしていた私に、Kさんが話しかけてきた。
「私・・・離婚したんです。それで、今、一人暮らしをしようと引っ越ししたんです。荷物は運び終わったんですけど・・・。テレビの配線がわからなくて・・・良かったらやってもらえないですか?」
わ、わ、わかりやすい誘い方!
と、考えてしまう私がおかしいのだろうか?
その頃、嫁ともケンカしてて、ムシャクシャしてた私は、しばらく考えてOKを出してしまった。
朝の9時くらいに作業が終わり、車でKさんと会社を出た。
結婚してから、他の女と・・・っていうのが初めてだったので、罪悪感が止めどなく襲ってきた。
その度に、アイツがあんな態度するからや!とか、自分の事は棚に上げて、納得しようとした。
でも、もしかしたら、本当に配線がわからなくて頼んでいるのかもしれない。
私の心は揺れ動いていた。
まだ、引っ越したばかりなのか、段ボールの荷物が所々にあった。
テレビの配線も、なんてことなく繋ぎ終わった。
こんなの調べれば、すぐ、わかるのになって思い、やはり・・・かな?と、ドキドキしてきた。
「ありがとう!たすかったわ!お茶でも、どうぞ!」
「あ、あ、ありがとう・・・。」
二人に気まずい空気が流れる。
シーンとした部屋・・・。
沈黙の時間が過ぎていく・・・。
音といえば、私が先程、配線を繋げたテレビから、朝のワイドショーなのか、レポーターが何やら喋っている声がするだけ・・・。
私は沈黙に耐えきれず、意を決して言った。
「じゃ、じゃ~、か、か、帰ります!」
「あ、そ、そう・・・。」
そう言って、私は帰った。
やっぱり、妻や子の顔が頭に浮かんで・・・いやいや、ただ単にタイプじゃなかったという事と、向こうからアクションを起こしてこなかったからかもしれない。
これが、私のドンピシャの高島礼子似とかだったら、自分から行ってたかもしれない。
という話を、昔、嫁に秘密で、ぶっちゃけブログで書いてたのを見つかってしまった。
「い~や、アンタ、ぜっ~たい、ヤッテるって!」
って、信じてくれませんでした。(笑)
しかし、その後も、私の本業の店に来た時は、さすがに焦った・・・。
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